初めまして!泉田と申します。
普段は訪問介護で皆さんと笑顔を交わしながら過ごしています。
今回は、読んだあとに『明日から少しだけ丁寧に過ごしてみようかな』と思えた本をご紹介します。私の個人的な感想ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
私たちは日々、介護という仕事を通じて、多くの方の人生の終盤に寄り添っています。
利用者様が「かつて出来ていたことができなくなる」という葛藤や、もっとこうして欲しかったという後悔に触れる中で、私たち自身も「もっと良くしなきゃ」「もっと頑張らなきゃ」と、知らず知らずのうちに自分に高いハードルを課してはいないでしょうか。
そんな、誰かのために一生懸命な皆さんにこそ、手にとってほしい一冊があります。
元朝日新聞記者の稲垣えみこさんが書いた**『寂しい生活』**です。
この本は、東日本大震災をきっかけに「超・節電生活」を始めた著者の記録です。
冷蔵庫も洗濯機もない生活。一見すると「不便で寂しいもの」に思えますが、そこで見えてきたのは意外にも、圧倒的な「心の自由」でした。
私たちは便利な道具やサービスに囲まれているうちに、「今の自分では足りない」という呪いにかかっているのかもしれません。
でも、稲垣さんは教えてくれます。「できない」ことを受け入れ、便利な道具をあえて手放してみる。すると、そこには「ないからこそ工夫する楽しさ」や「今あるものへの深い感謝」が待っていました。
私たちが関わらせていただく人生の終盤を迎えられた方々から、教わることがあります。
それは、最後に残るのは豪華な持ち物ではなく、「今日誰かと笑ったこと」や「窓から差し込む光の暖かさ」のような、ささやかな瞬間の積み重ねだということです。
「もっと多く、もっと新しく」を求める苦しみから一歩降りて、「今の私で大丈夫」と、幸せのハードルをうんと下げてみる。
この潔い生き方は、私たちが抱える将来への不安を、静かに癒やしてくれます。
実は私も、昨年一年間、洗濯機を手放す暮らしをしていました。あえて「ない」生活をしたことで、再び手に入れた時の喜びはひとしおです。今、洗濯は単なる家事ではなく、大切な「幸せの時間」に変わりました。
そして稲垣さんの暮らしは、どこか私たちがケアさせていただく利用者様の、昔の丁寧な手仕事や暮らしぶりとも重なります。
忙しい業務の合間に、この本を通じて「引き算の幸せ」に触れてみてください。
読み終える頃には、いつもの景色が少しだけ違って見え、自分の手足が動くこと、温かいご飯が食べられること、そんな当たり前のことがたまらなく愛おしく感じられるはずです。
皆様にとって、今日という日が「これでいいんだ」と自分に丸をあげられる、穏やかな一日となりますように。





